12th Asian Pacific Conference on Shell and Spatial Structures APCS2018にてBest
Paper Awardを受賞
2018年10月29日から3日間、シェル・空間構造に関する国際会議12th Asian Pacific Conference on Shell
and Spatial Structures APCS2018(以下APCS2018)がマレーシアのペナンにて開催されました。この国際会議は3年に一度、主にアジア太平洋地域の空間構造の研究者、デザイナー、エンジニア、ファブリケーターが集い、研究成果、デザインレビュー、プロジェクト紹介、建設技術の報告を通して情報交流をする重要な会議として位置付けられています。本会議のオーガナイザーの委員長はUniversiti
Sains MalaysiaのKok Keong Choong先生であり、筆者と20年来、互いの研究分野、共同研究に関して意見交換を行ってきました。またオーガナイザーの一人としてUniversiti
Teknologi MalaysiaのChai Lian Oh先生に担当していただきました。Oh先生は博士号を取得するため、USMのDoctoral
Studentとして2013年4月1日から3か月間、本学の地域防災環境科学研究所の筆者の研究室にてTensegrity構造(圧縮材が不連続に配置される張力構造)の基礎を学び、帰国後、バイオメカニクスの研究
によりUSMよりPh.D.を取得しています。今回は5年ぶりの両先生との再会でした(Photo左下)。APCS2018のテーマはシェル・空間構造の解析、設計、施工における近年のイノベーションです。発表のトッピクスはシェル・空間構造に関する広範囲の分野(耐震、防災、最適化、設計法、新材料、設計・プロジェクト事例、新構法、歴史的建造物の保存など)にわたり、67編の論文に対する講演と活発な議論がなされました。今回、大学院生の刀根一将さんとの共著による膜構造の設計原型曲面形状を決定するための大域的最適化手法に関する論文
“Study on minimal area surface search using tunnel method”を投稿しました。会議1か月前に論文評価委員会よりBest Paper Awardに選出されたとの連絡を受けました。会議2日目に受賞講演が設けられ、講演後に授賞式が催されました(Photo右下)。今回の研究課題はPlateau問題と呼ばれる指定境界に張られる最小面積の極小曲面を求める問題に対する解析手法の開発です。Plateau問題は多くの未解決問題が内在する変分問題の一つであり、現在は数学者が積極的に取り組んでいます。工学では最適化問題との接点を有し、最適化手法の新たな応用例として一石を投ずることになりました。