研究紹介

工場設備の異常音を検知するアプリ開発

松井くにお研究室と株式会社別川製作所(石川県白山市)は、約1年間にわたって共同研究を行い、その成果として工場設備の異常を検知するスマホアプリを開発しました。

今回の共同研究は、2020年4月より、松井研究室と別川製作所の企画開発室との間で行われたものです。松井研究室からは、松井くにお教授、情報工学科4年次の徳田真之介さんが参加しました。

研究目的は、Androidアプリで録音した機械の稼働音をクラウドで解析し、機械が正常から異常に変わるまでの過程を可視化できるようにするもの。アプリ開発担当の徳田さんは、録音と解析用データへの変換、AI(人工知能)の技術を用いたクラウドでの解析の実行までを、スマホの操作のみで対応できるようにしました。また、ARマーカーも活用し、機械の映像やガイダンスとともに録音方法などをスマホに表示させる、AR(拡張現実)の技術を活用した機能なども組み入れ、取得データの精度も保持しています。取得したデータのAIによる分析は、松井教授のアドバイスの下、別川製作所がシステムを製作しました。

2020年11月と2021年1月には、実証実験も行いました。別川製作所の工場の塗装エリアで、塗装ポンプの稼働音を録音し、操作の手順やユーザビリティーを検証。当初は解析結果をパソコンなどの別の端末で知らせることを考えていましたが、スマホの手軽さを最大限に生かすため、解析結果が即座にスマホへ通知されるように改善し、録音、解析、通知までをスマホ一台で完結させました。

機械の異常音を解析するシステムのモデル図

今回の共同研究は、身近なスマホアプリの機能と、別川製作所が展開するAI・IoT(Internet of Things、モノのインターネット)を駆使した分析機能とを連携させ、新たな価値、サービスの創出の可能性を追求するものとなりました。

今後も実用化に向けた共同研究を継続し、AR・ビーコンを活用してシステムの適用範囲を拡充するとともに、機械の稼働音以外のデータも取得できるよう改善していく予定です。現在は、別川製作所内の工場で検証を行なっている段階ですが、将来的には、工場設備の異常を検知できるシステムとして実用化することも視野に入れており、今回の共同研究は実用化への一歩となりました。

徳田真之介さん(左)が工場を訪れ実証実験を実施

共同研究の開始のきっかけ

今回の共同研究のきっかけは、別川製作所の社員の方が金沢工業大学の「情報技術教育プログラム」を受講したことです。情報技術教育プログラムは、AIやIoTを中心とする新しい情報技術を活用できるよう、AI・データサイエンス・IoT・ロボティクス・ネットワークセキュリティについて、企業勤務の方が学べるプログラムです。プログラムを受講した社員の方は、さらにAI・IoTに関する知識を深めるため、松井教授からAI・IoTの技術指導を受け、そこから今回の共同研究に発展しました。

近年、情報技術教育プログラムの受講をきっかけに新たな共同研究につながる事例が増えています。また、共同研究においては、教員のみならず研究室の学生も研究に携わることが多く、この経験が学生の成長にもつながっています。金沢工業大学は、プログラムを通して、企業の研究・開発・成長をサポートするとともに、社会人とともに学び合う学生に対しても、社会実証の研究フィールドを提供していきます。

学生の研究や活動情報取得を支援するチャットボット開発

松井研究室では、金沢工業大学の研究室や課外活動の情報取得を支援するチャットボットを開発しました。プロジェクトデザインⅢ(卒業研究)の研究テーマの一環としてで取組んだもので、シンプルかつ直感的に操作ができる検索システムとなっています。

1.課題と目的

学生生活において、学内の情報(課外活動や研究室)について調べることがあったが、これらの検索システムはどちらかと言うと教員や学外の人に向けられて制作されていると感じるところがある。また、知りたい情報までいくつかの段階を踏む必要があるため、煩わしさを感じることもある。

そのため、本研究では学生に焦点をあてシンプルかつ直感的に操作ができる検索システムを開発することを目的とする。

2.解決方法

シンプルかつ直感的に操作ができる検索システムを実現するため、本研究ではチャットボット(ルール型)をWebアプリケーションで開発をする。

アプリケーションQRコード

3.使用言語

サーバーサイド言語 フロントサイド言語
Node.js HTML、CSS、JavaScript

4.メニュー項目の説明

項目 説明
研究室検索 研究室検索に進む
課外活動検索 課外活動検索に進む
研究室一覧 以下のURLに遷移
https://kitnet.jp/laboratories/index.html#subject01
課外活動一覧 以下のURLに遷移
https://www.kanazawait.ac.jp/kitnews/2020/extracurricular-activities.html
お問い合わせ アプリケーション製作者にお問い合わせすることができる
アンケート Googleフォームのアンケートページへ遷移

コード化点字ブロックによる音声情報案内

松井研究室では、このたび「コード化点字ブロックを活用したAI音声誘導サービス」の社会実装に向けた取り組みを開始しました。視覚障がい者の歩行課題の軽減に加え、観光客や外国人も観光情報や災害時の避難情報などが取得できるインフラ整備を目指します。2019年度の「金沢市市民生活AI技術等促進事業」(事業期間1年)の選定を受けて実施するもので、あらかじめコード化した点字ブロックの販売や、他の自治体も利用できるようオープンデータ化も進め、コード化点字ブロックの普及を目指します。

金沢市の協力のもと、広坂、兼六園、金沢21世紀美術館周辺など観光施設の多い地域から観光案内コード化点字ブロックの実装地点を選定し、本年12月に敷設しました。視覚障がい者や観光客、外国人など、周辺情報を必要としている人たちが白杖やウエストポーチ等につけたカメラや、スマートフォンで点字ブロックを読み取ると、AIが観光施設やレストラン、トイレ等を音声誘導するほか、災害時には避難所への誘導情報への切り替えも可能です。

Walk&Mobile
-コード化点字ブロック認識アプリ-

App Store(iOS)からのインストールはこちら

Google Play(Android)からインストールはこちら

アプリの使い方

プライバシーポリシー

コード化点字ブロックオープンデータ

コード化点字ブロックオープンデータ仕様.pdf
位置データ2020.csv
案内データ2020.csv

コード化点字ブロック体験2021

 

CM好感度調査の分析

松井研究室では、CM総合研究所とテレビCMに関する共同研究を開始しました。

CM総合研究所では「CM好感度調査」を1989年1月より行っています。東西キー局、BS局で放送されるテレビCMをすべて採集・保存し、今日まで87万点余のCM作品の映像、放送開始日、広告主名、商品名、情景、楽曲名、画面文字、タレント名、出稿状況などの詳細データを「ビッグデータ」として蓄積しています。

共同研究では、このビッグデータをAIの一分野である「自然言語処理」や「機械学習」を用いて解析。CM効果と消費者反応に関して精度の高い情報の提供やコンサルティングに活かしていく考えです。

共同研究ではCM総合研究所が保有するテレビCMのビッグデータを活用します。

※本研究は、広告業界の発展に貢献するためのものであり、関係者限定です。