電界蒸発
電界電子放射
アトムプローブ
電界放射顕微鏡
電界イオン顕微鏡
電界蒸発とは

 たぶん、さっぱりわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。熱蒸発?分子間引力?イオン化?なんじゃそりゃ?という感じかもしれませんね。しかし、どちらの現象も、そこに居られなくなるからどこかへ行ってしまうという現象なのです。

 例えば、私たちも、規則正しく整列していれば、同じ場所にとどまっているのは簡単なことですが、人ごみのように、それぞれがばらばらな動きをしていたら、同じ場所にとどまっているというのは困難なことだと思います。それと同じで、原子も熱を加えられると、それぞれがばらばらな動きを始め、それが激しくなってくると、弾き飛ばされるものが出てくるというのが、熱蒸発なのです。(正確には違いますがイメージとして)

 さて、問題は電界蒸発についてです。世の中にあるものは大体が、反対の性質を持つものが対になっていてお互いがくっつきあっていますが、同じものどうしになると反発するという傾向があるようです。例えば、磁石のN極とN極が反発するようにです。原子もこのような対、陽子(+)と電子(−)を持っています。電界蒸発の場合、高い電界を加えることによって電子だけを奪ってしまうわけです。そうすると、自身はもちろん周りの原子も+になっているので、反発するものしかおらず、一番表面に居る原子は飛ばされてしまうわけです。このような現象が連続的に起こって蒸発が進みます。イメージとしてはこんな感じなのですが、やはり正確には違います。

 さらに謎が深まった方は、ぜひ電界蒸発について勉強してみてください。
 一般に蒸発といえば、熱蒸発のことを指します。熱蒸発というのは、熱を加えると、表面の分子の熱運動が分子間引力に打ち勝ち、表面から脱離する現象のことを言いますが、これに対して電界蒸発は、高い正の電界を加えることにより、表面の中性原子がイオン化し、内部の+とイオン化した原子の+が反発して、表面から脱離する現象のことを言います。