VRによる工作機械のデジタルツインシステムの開発

キーワード

工作機械,デジタルツイン,リモート化,xR技術


概要

 この研究では、デスクトップ工作機械を対象にVRによるデジタルツインの仕組みを構築し、シミュレータとしてテスト加工を行ったり、実際の機械と通信を行ってリモートで加工の様子を確認したりするシステムを作っています。

 対象としている機械は、森本・林研究室でオリジナルに設計開発しているデスクトップ工作機械です。この機械はパイプフレーム構造であること、机の上に置けるサイズ感であること、テーブルが手前に20°傾斜していることなどが特徴のNCフライス盤です。パソコンから操作して動かすことができて、加工プログラムを使った自動での加工もできます。

デジタルツインの全体図

VRシステムの特徴

 VRシステムを実行すると、バーチャル空間上にデスクトップ工作機械が置かれており、360°で撮影した研究室の動画を背景としているので、リアルな感覚で機械があるように感じられます。指でパネル操作を行い、工具の位置を操作すると材料が削れていく様子も見られます。

 このシステムには実際の機械を触る前にVRヘッドセットの中で安全に操作を練習する。学習用シミュレータとしての側面もあります。

システムの概要

NC加工シミュレーション機能

 実機と同じ形式の加工プログラムを読み込めるので、自動運転のプログラムがうまく動くか、正しく削れるかを事前にシミュレーションして見られます。ただPC画面に映すだけのシステムではなく、VRなので近づいて機械をのぞき込んで見たり、削った材料を手に取って確認したりすることを目指しています。

加工シミュレーション

リモート監視機能

 コロナ禍を経てリモートという言葉が身近になりましたが、工場などで動いている機械の様子を家やオフィスから確認するときに使うことを想定した機能です。カメラを設置して画面で監視するよりもリアルな感覚で観察できるよう、VR によるリモート監視の仕組みを作っています。

 実際の機械と通信を行い、実機のテーブルの動きに同期してバーチャル上の機械もリアルタイムに動きます。現場で実機を操作して自動運転を開始すれば、あとは離れた場所にいてもVRで機械の状態や加工の状況を確認できる仕組みを目指しています。また、より安全に・効率よく加工するために行う機械の設定値の変更までリモートで行うような活用を考えています。

リアルタイムモニタリング

研究の独自性

 既存のシステムや研究において、加工のシミュレータはあってもリアルタイムに機械の動きを見られるものは少ないです。また、VRを用いていることで、PC画面やタブレット端末に出力するデジタルツインに比べて高い没入感でシミュレーションやリモート作業を行えることが特徴です。


この研究で身に着ける知識・技術

プログラミング(Unity(C#)、LabVIEW),機械加工の基礎,制御,IT通信