研究テーマ - 安全な水,食品,再生可能エネルギーを全ての人に

有機化合物を多孔性配位高分子で包接・徐放する技術の開発

多孔性配位高分子(右図)はナノメートルサイズの多数の孔を持ち,孔の中に物質を取り込んだり(包接)ゆっくり放出したり(徐放)できる材料です。本研究の目的は,有機化合物を多孔性配位高分子で包接し,その後に徐放する技術の開発です。これまでに,藻類が生産した有機化合物を包接する技術を開発しました[1]。現在は,本技術の食品・医薬品分野への適用を目標に,天然有機化合物を包接・徐放する技術の開発に取り組んでいます。

  1. Tosa et al.: Journal of Water and Environment Technology, 22(6), 128 (2022)

飲料水を造り,水質を分析して安全性を確かめる技術

人間の生活に安全な水の確保は必要不可欠です。本研究の目的は,微生物や化学物質で汚染された水を浄化して飲料水を造り,水質を分析して飲料水の安全性を確かめる技術の開発です。これまでに,天然抗菌成分を含む木材を用いた木製貯水槽による水質の改善技術[1]や臭素系消毒剤による生活排水の消毒技術[2]を開発してきました。現在は,膜ろ過式の浄水場(右図)で安全でおいしい水道水を造る技術の改良に取り組んでいます。

  1. 土佐 他: 環境技術, 39(8), 464 (2010).
  2. 土佐: 環境技術, 51(6), 327 (2022).

排水やバイオマスから再生可能エネルギーを造る技術

バイオマスはカーボンニュートラルで再生可能な資源であり,材料や燃料の原料です。本研究の目的は,有機物を多く含む排水やバイオマスから再生可能エネルギーを造る方法の開発です。これまでに,有害物質を含む植物(右図)の油からバイオディーゼル燃料を製造し,同時に含有有害物質を分解する技術を開発しました[1-3]。現在は,微生物を使ってバイオマスからメタンなどの気体燃料(バイオガス)を造る技術の改良に取り組んでいます。

  1. Tosa and Ishizuka: Renewable Energy and Environmental Sustainability, 2, 1 (2017).
  2. 土佐 他: 環境技術, 48(2), 84 (2019).
  3. Terawaki and Tosa: Chemmical Engineering Transactions, 80, 247 (2020).