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研究内容

先見情報を用いた装軌車両の軌道生成と制御

研究者:藤田陽介,堀田直

現在,災害救助はほぼ人の手で行われ,二次的な災害による被害を軽減する救助ロボットシステムが必要とされ,様々な研究が行われている. 本研究ではその中での救助者の安全を確保するシステムに着目した. 過去の研究においてPCの画面上にマウスを利用したGUI(Graphical User Interface)によりあらかじめ表示された地図上にマウスで軌道を描き車両を操作を行っていた.
本研究では先見情報として障害物情報が分かるものとし,地図上に目的までの安全な軌道を自動生成し,この軌道に沿って装軌車両を追従制御させる.そして実験により有効性を検証した.

持ち上げた感覚をフィードバックするテレオペレーションシステムの開発と試作

研究者:小笠原豊,蒲池遼平,長井俊樹

遠隔操作の代表的なものとしてテレオペレーションシステムがある. これはオペレータがマスタのハンドを操作することで,遠隔地にあるスレーブのハンドを操作するというものである. 過去の研究において内部モデル制御と最適制御の併用系を用いることで力センサを用いることなく,反力をマスタに返すことが可能であることが分かっている.
本研究では物体の重さ感覚をオペレータにフィーとバックするシステムを構築する. そして実験により目標追従特性,外乱推定特性及び重さ感覚がオペレータに帰還できることを検証した.

残存能力を利用したリハビリトレーニング機器の開発

研究者:黒田健司,村井優介

近年,少子高齢化社会の進展に伴い,介助者の不足が問題となっている. 介助者が必要となる原因のひとつとして立ち上がりや歩行動作に要する筋力の低下がある. この問題を解決する手段として自転車エルゴメータによるリハビリ機器がある. しかし,この装置は医療用の能力測定器として用いられていることが多く,センサを多く用いられているためコストが高くなっている.
本研究では,筋力の低下が原因で筋力が低下した人を対象としたリハビリ機器を開発する. そして使用者の残存能力を推定し,必要なアシスト力を生成できることを実験により検証した.

曲げセンサを用いたハンドの制御と性能評価

研究者:今泉峻生,村中碧

現在ある多くの人型ロボットは,その主眼が身体全体を通してのメカニズム解明であるため,手の機構は再現されていない. また,手の動きの情報を取り入れた装置にデータグローブがある. これは手袋上のものにセンサ類が搭載され,そこから指の動作情報を取り出し,マニピュレータを操作するものである. しかし,市販されているデータグローブは高価であり,あまり普及していない.
本研究では安価な曲げセンサを利用してデータグローブを製作する. そして試作したハンドを用いて曲げセンサの性能を評価し,データグローブのセンサとしての応用可能性を検証した.

筋電義手の開発-感覚フィードバックを可能にしたシステムの構成-

研究者:小林弘和,堂阪久美子

近年筋電義手の開発と同時に,義手の把持力や指の角度などの情報を歪センサなどの検出器で検地し, 振動や電気刺激で使用者に伝える感覚フィードバックの研究が行われている. しかし,振動や電気刺激による使用者への負担が懸念される.また歪センサは物体の形状や把持状態によって検出値にばらつきが生じやすい.
本研究では外乱推定特性を持つ制御系を利用し,力センサや歪センサを用いずに把持力を推定し, その情報を腕に取り付けた装置に返しベルトで締め付けを行う感覚フィードバックシステムを構成し,実験によりその有効性を検証した.

筋電義手の開発-手首の回内外,掌背屈動作を可能にした装置を開発するための研究-

研究者:財津賢一郎

現在普及している筋電義手は1ch・2chから動作生成を可能としており,ペンの把持動作, ひもの把持など多くのことを可能にしている.そのため,顧客の利用が高い. しかし,強い把持動作が可能であるが,手首の動作は不可能であり,改善すべき点がまだまだ残っている.
本研究では,2つの信号による手首の回内外・掌背屈動作を可能にした装置を開発するために, 2つの表面筋電位信号からの動作を判別するシステムを設計し,実験により手法の有効性を検証した.

レスキューロボットのすくい上げ機構の製作と制御

研究者:野々山泰,平原裕一

災害発生時には,人間が立ち入ることが危険な区域での救助活動が必要な場合がある. また,二次災害発生の危険性などから夜間での救助活動が出来ない場合もある. そのためこれらの解決策として救助ロボットの研究が行われている.
本研究では要救助者に過度の負担がかからないよう,すくい上げによる持ち上げ機構を考案し,試作機の製作を行った. そして実験により機構の有効性を検証した.

能動型下腿義足のためのけり足動作を実現する補助機構の試作

研究者:伊藤泰路,山本匠太

現在,下腿義足は,カーボン製のばね板の反力を利用し,けり足動作を代用しているものが多い. しかし,ばね板の反力を得るためには,踏み込む力が必要で,動力源を持つ義足は膝関節をもつ義足に限定されている.
本研究ではワイヤ駆動方式を採用し,けり足動作を行う下腿義足の開発を目指し,試作機を製作した. この試作を用いて動作実験を行い,下腿義足のけり動作の解明を行い開発のための基礎資料を作成した.

傾斜面を横断できる片手・片足で操作する車椅子の開発

研究者:仙木淳,田丸郁弘

脳障害等によって,半身が麻痺した片麻痺者を対象とした車椅子は操作が難しく,特に傾斜面の横断が困難である. 過去の研究で一般的な車椅子に補助装置を取り付けて,内部モデル制御と最適レギュレータの併用系でを用いることで平坦路での走行が可能となった. しかし,傾斜の横断は不可能であったため,この制御系に新しくサーボ補償を加えることでで傾斜面を横断できることが実験的に明らかにされた. しかしながら,サーボ機能及び外乱推定機能の検証はされていない. 本研究では,補助装置の再製作と制御系の見直しを行い,サーボ補償を加えたことで傾斜が横断可能となった要因を検証した.