生産システム工学
諏訪部仁 研究室SUWABE Hitoshi LABORATORY
精密加工で電子素子から医療まで!
地球環境改善への要求の高まりから、環境と経済の両立が可能な低炭素社会の構築が求められています。研究室では環境にやさしい次世代エネルギー変換システムとして期待される太陽光発電システムで用いられる結晶系シリコンの超精密加工技術の開発、電車や電気自動車に用いられる電力用半導体素子(パワーデバイス)の高効率化を実現するための超精密加工技術の開発並びに工具の開発を行っています。
KEYWORDS
- 精密加工
- 超精密加工
- レーザ加工
- 医工連携
諏訪部 仁
教授・工学博士
静岡県沼津工業高校出身
- 略 歴
- 金沢工業大学機械工学科卒。同大学大学院博士課程(機械工学)修了。日本学術振興会特別研究員として東京工業大学工学部機械工学科研究員を経て、1990年本学助手就任、講師、助教授を経て、2006年現職。1998~1999年ジョージア工科大学客員研究員。
- 専門分野
- 切断、ラッピング、研削
- 担当科目
-
プロジェクトデザイン入門(実験)(機械工学科)、機械力学Ⅰ、機械力学Ⅱ、
プロジェクトデザインⅢ(諏訪部仁研究室)、機械力学Ⅱ、
プロジェクトデザイン実践(実験)(機械)、機械工学専門実験・演習、専門ゼミ(機械工学科)、
アドバンスドマシニング工学研究(諏訪部仁)、先端機械工学特論
RESEARCH
半導体デバイスの基板用シリコンのスライシング加工で用いるマルチワイヤソーの加工メカニズムの解明
電子機器で用いられているICやLSIの基板にはSi(シリコン)を薄い円盤状に加工したもの(シリコンウェハ)が用いられています。このウェハーは砥粒と呼ばれる10μm程度の研磨剤と特殊な油を混ぜ合わせた加工液を工作物にかけながら髪の毛2本分ぐらいの太さのピアノ線を高速走行させることによって加工されています。(この加工法をマルチワイヤソーと言います)
研究室ではこの加工法の更なる高能率、高精度化を実現するために、加工部に進入した研磨剤の転がる様子を高速度カメラで観察し、加工メカニズムの解明を行っています。この観察によって加工中の研磨剤の転がり方や破壊される様子が明らかとなりました。写真は加工中の研磨剤の様子を観察した写真の一例です。(静止画なので砥粒の動きは見えませんが、写真の下方向に砥粒が動きます)
現在では、加工中に転がる研磨剤の動きをどのように制御するか実験的に検討しています。
結晶型太陽電池で用いるシリコン基板の高精度加工に関する研究
工場や家庭の屋根の上に設置されている太陽電池は結晶型太陽電池と呼ばれています。この太陽電池にはSiと呼ばれる単結晶材料や多結晶材料が用いられています。現在研究室では、この結晶型太陽電池の発電効率や生産性を向上させることを目的として、加工面で発生する加工ダメージを減らす加工法の研究をしています。研究室では数μm程度のダイヤモンド砥粒を加工液に混合させて、切断加工することによって、加工表面のダメージは従来方法の1/5程度まで減少させることができ、その結果として上記の写真の様に加工面は文字が写せるまで鏡面を作ることができました。
パワーデバイス用基板材料の延性モードスライシング加工に関する研究
電気自動車や電車で用いられるパワーデバイスに用いられるSiC材料の加工の研究をしています。この材料は硬脆材料と呼ばれる硬くて脆い材料です。このような材料は加工中に脆性破壊を生じることによって加工されるため、加工時に発生する切りくずは小さい粒となります。
本研究では加工部に進入した研磨剤の運動を制限することによって、写真に示すような糸くずのような切りくずを発生させることができる加工法を発見しました。この研究成果の結果、加工表面で発生する加工ダメージを従来加工の1/500程度(20nm)まで減少できるようになりました。
パワー半導体の高性能化と生産性向上に寄与する加工法として期待されています。
電子部品材料のラッピング・研磨加工に関する研究
ICやLSIの基板やLEDの基板はワイヤソーによって薄い板状(ウェハーと呼ぶ)に加工されます。その後、ウェハーの加工表面の平行度を向上させるために研磨加工が行われる。研磨加工とは2枚の大きな円板の間にウェハーを挟んで、それぞれを動かすことによって加工する方法です。
研究室では、この加工法の高能率・高精度化を可能にするために、加工部に供給する加工液の性質が加工特性に与える影響や加工部に供給される加工液挙動を可視化しています。
低周波振動を援用したベルト研磨加工に関する研究
ベルト研磨加工は砥粒を固着したベルトを高速で回転させながら自由曲面を加工する方法です。この方法は発電機のタービンの部品であるタービンブレードと呼ばれる羽の研磨加工に用いられています。
研究室では本加工法を脆性材料の研磨加工への適用の可能性を検討しています。
高校で習う
科目
物理、機械工作