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材料工学

斉藤博嗣 研究室SAITO Hiroshi LABORATORY

複合材をつくる技術とこわれる特性の解明

軽さと強さを併せ持つ複合材料構造をつくる技術と、それに伴う様々な学術的課題に取り組んでいます。構造材料としての繊維強化プラスチックの信頼性向上も目指しています。

KEYWORDS

  • 複合材料(FRP)
  • ものづくり
  • 成形
  • 破壊
  • 信頼性
斉藤博嗣

斉藤 博嗣

教授・博士(工学)

大阪府茨木高校出身

略 歴
京都工芸繊維大学工芸学部機械システム工学科卒。同大学大学院工芸科学研究科博士前期課程修了、同後期課程修了。2003年本学特別研究員(PD)就任。2006年本学研究員、講師、准教授を経て、2020年現職。
専門分野
計算力学、材料力学、損傷力学、複合材料
担当科目
機械系製図Ⅰ、機械の原理・演習、電気基礎、材料力学Ⅰ、機械設計演習、
プロジェクトデザインⅢ(斉藤博嗣研究室)、機械系製図Ⅱ、材料力学Ⅱ、3D解析・設計、材料力学Ⅲ、
専門ゼミ(機械工学科)、安全安心な多機能・高信頼複合材構造システム基盤研究(斉藤博嗣)、
複合材料評価技術、高信頼ものづくり専攻統合特論  複合材料数値計算 

RESEARCH

FRP成形における強化繊維の樹脂浸透性におよぼす影響因子の解明

気泡応用型流体エネルギー有効利用と環境低負荷化を目指す

高い強度を持つ繊維と、形状に高い自由度を持つ樹脂で構成される繊維強化プラスチック(FRP)では、繊維の間に樹脂が染み込まなければ、さらには繊維と樹脂が接着しなければ、構造材料としてのFRPとはならない。特に、気泡の混入や、繊維と樹脂のはがれおよび引き抜けは、FRPの特性を著しく低下させる要因となる。そのため、本研究室では、樹脂に対する強化繊維の浸透性におよぼす影響因子の解明とその影響の実験的評価をおこない、FRP成形におけるより効率的な成形条件の確立を目指す。さらに、よりミクロスケールの視点から、繊維およびその表面構造を構成する分子と樹脂の分子の相互作用を考慮した、分子シミュレーションによる繊維/樹脂界面のぬれ性評価をおこない、実験的評価との相関性を検討する。

FRPの繊維/樹脂界面引張強度の実験的評価

キャビテーション気泡と崩壊・衝撃・壊食機構

高い強度を持つ繊維と比較的強度の低い樹脂で構成されるFRPでは、一般に最も強度の低い繊維と樹脂の界面から破壊が生じ、それを起点に層間や層内へと破壊が伝播し、最も強度の高い繊維が破断して最終破壊に至る。そのため、破壊の起点となる繊維/樹脂界面強度の評価は、材料および構造の信頼性を確立する上で不可欠な要素である。一方で、界面せん断強度は実験的な評価法が確立されているものの、界面引張強度は未だ評価法が十分に検討されていない。特に、今後自動車等への適用が期待されている熱可塑性樹脂と炭素繊維の界面引張強度は、十分な評価結果が示されていない。そこで、本研究室では、従来提案されている界面引張強度評価法であるCruciform試験法や、新たな評価法を検討し、様々な材料系における繊維/樹脂界面強度を評価している。

FRPの層間破壊特性におよぼす繊維配向角の影響評価

ウォータージェットに関する研究

高い強度と剛性を有するFRPは、航空機構造や自動車等に適用が進められている。これらの実構造に用いられるFRPは、一般に一方向にそろえられた強化繊維に樹脂を染み込ませた薄い層状材料を、様々な角度で積み重ねた積層板として利用されている。そのため、積層板の厚さ方向には繊維が通っておらず、層間は比較的低い強度となるため、衝撃などが加わった場合に、層間がはがれる「層間はく離」と呼ばれる破壊現象が生じる。層間はく離は、積層板の圧縮強度を著しく低下させるため、層間のはがれにくさ(=層間破壊じん性)が重要な評価対象となっている。一方、従来の積層板の層間破壊じん性は、一方向材で評価されてきたが、上記のように、実際の構造材料では角層が様々な角度に積み重ねられている。そこで、本研究室では、繊維配向角が異なる層間における層間破壊じん性を実験的に評価し、繊維配向角が層間破壊じん性および破壊メカニズムにおよぼす影響を実験的および解析的に明らかにすることを目指している。

FRP積層板の衝撃破壊進展メカニズムの実験的および解析的アプローチによる解明

尿路結石の破砕に関する研究

FRPの内部で発生しうる損傷には、樹脂き裂や層間はく離、繊維/樹脂界面はく離、繊維破断など、数多くの形態が存在し、かつそれらが複合的に生じるため、損傷の発生と進展挙動を予測することは極めて困難である。特にCFRPにわずかに目視可能な程度の小さな衝撃を与えた場合でも、CFRP内部では層間はく離やトランスバースクラックなどの損傷が発生し、これらの損傷はその後の力学特性に影響を与える。過去の研究では衝撃損傷を巨視的に扱う研究が多く、トランスバースクラックや層間はく離といった微視的な損傷形態に着目し、実験的に破壊メカニズムの解明を行っている事例は多くない。そこで本研究室では、衝撃後のCFRP積層板内部の破壊を詳細に観察し、さらに数値シミュレーションと比較することにより、衝撃損傷と層間破壊モードの相関性を明らかにする。

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科目

物理、数学

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