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" オリジナルエンジン製作苦労話 "
工学部 機械工学科 2年
水上 祐一 Yuichi Mizukami
こんにちは。当ウェブサイトの管理人です。

エコランメンバのF森君に「コラム書いてよ」と頼んだら、拒否されたうえに「先にお前が書けよ」という貴重な御指摘を頂きましたので、管理人として早速実行した次第です。

現在の担当は、主に車体関係と金属加工、当サイトの管理です。

ワイヤ放電加工機金属加工については、高校以来常に慣れ親しんできた分野です。金属が削りたいからエコランプロジェクトに入ったようなモンです。

高校では部活で金属加工をやっていましたが、機械科の旋盤・汎用フライス・マシニングセンタは、実習で使用するため「壊されたり、ケガされると困る」ということで、先生の機嫌が良いとき(?)以外は滅多に使わせてもらえませんでした。

その代わりに、ワイヤ放電加工機(ワイヤと被加工物間に放電現象を起こして、NC制御で切る機械)は、部員だけで使い放題という状況でした。そのため、フライス盤ならば短時間で終わるような加工を、全部放電加工でやってました。ワイヤをすごく消費した覚えがあります。今では考えられない話です。

さて、本題のオリジナルエンジンの製作にまつわる話です。
2006年は8月末のSUPERMILEAGE CAR CHALLENGE HIROSHIMA 2006に向けて初めてオリジナルエンジンを製作するという予定で、コンロッドとクランクケースの製作を担当することになりました。

コンロッドは、3月頃から治具の設計・製作を行い、同時にNC加工時のGコードの準備しました。CADデータから、フリーソフトを使用して分割された工具経路を生成して、それを繋ぎ合わせて、使用工具・加工手順別にGコードを準備しました。

壊れたNCフライス盤このときすでに6月です。

最後はNCフライスで加工するだけですが、そんなときに肝心なNCフライスは…
Z軸のサーボモータが外されて、ニーがジャッキアップされています。

技師さん曰く、
「ボールネジが破損したため修理のため年内は無理」とのこと。

いきなり計画が頓挫しました。4ヶ月の苦労が水の泡です…そんなわけで、コンロッドは外部に発注することになりました。


7月の夏休み突入後は、1ヶ月かけてクランクケースを製作しました。内部はNCでポケット加工するつもりだったのですが…諦めることになりました。

万能フライスで加工中こちらも製作までの準備が大変です。加工用に図面が何枚も必要だからです。

製作はまず、部材の6面出しから始まるわけですが、発注の都合上削り代が多いため、フライス盤の横には、ジュラルミンのキリコの山ができあがりました。

6面出しの次は、穴空け・ポケット・外形という具合で進みます。

7月中旬には完成すると予想していましたが、夏の夢考房では不可能な事でした。

今年も数少ない工作機械を狙って早朝(深夜?)から順番待ちをするという、「夏休み工作機械争奪戦」が開催されたからです。ライバルは同時期に仕事が増える、某Fミュラカープロジェクトです。1年生多すぎです。勝てません。

さらに予定より作業が遅れたため、夜間の延長作業を行うことになりました。梅雨の時期ということもあり、とにかく蒸し暑く、軸送りのハンドル回したり工具を交換するだけで、汗が滴り落ちます。高校の夏休みを思い出しました。7月終わりには、ようやく完成が近づいてくるわけですが、仕上がりにこだわってしまう性格のせいで、さらに予定を大幅に過ぎたのちの完成となりました。

クランクケース(加工途中)いつものことですが、製作中はどんなに苦労しても、完成すると、そんなことは完全に忘れてしまいます。
苦労した分愛着がわき、家に持って帰って大切に飾っておきたくなりましたが、

「M社さん 納品まだッスか?」

という設計者の御声が聞こえてくるので、諦めることにしました。辛い日々でしたが、充実した楽しい夏休みだったと思います。

1ヶ月の労働の末、完成したクランクケースですが、残念ながら大会直前のクランクシャフトの破損により、レースで使用されることありませんでした。しかし、来年に向けて改良型のオリジナルエンジンが設計されています。来年こそはオリジナルエンジンのレース投入を目指して、製作を頑張ります。

こんなところで、コラムは終わりです。
それではまた。

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