作道研HP内コンテンツです!
*フレームが表示されてない方はこちらから入りなおしてください。
*お願い 本文・画像の無断引用はおやめ下さい(連絡頂ければご相談に応じます)
プラズマパラメータ
プラズマ温度
プラズマ中の気体分子(原子)、イオン、電子は、互いに衝突しつつ運動している。
イオンと電子は、気体分子の熱運動により大きな運動エネルギーを
電界によって得ることができるが、 他の粒子との衝突で運動エネルギーのやり取りをして、ある定常状態になる。
この定常状態では、例えば電子のマクスウェル−ボルツマン分布から、
高エネルギー側にシフトした分布になっているが、通常はマクスウェル−ボルツマン分布をとっているものとして扱う。
この定常状態では、平均運動エネルギーから
温度[電子温度(Te)、イオン温度(Ti),気体温度(Tn)]を次のように定義できる。

なお、イオンと他の中性粒子(原子、分子)との弾性衝突による運動エネルギーの交換は大きく、電子との交換は小さい。
そのため単位時間当たりの衝突回数が少ない場合(低圧力)では、
定常状態において電子の平均運動エネルギーは高いままとなり、他の重い粒子の平均運動エネルギーと
一致しなくなってしまう。
即ち、電子、イオン、気体分子との間に熱平行が成立していない状態のプラズマで、「非熱平衡プラズマ」と呼ばれる。
このプラズマでは、電子温度(Te)≫イオン温度(Ti)≒気体温度(Tn)の状態にあり、
気体温度が低温(室温程度)で、「低温プラズマ」とも呼ばれる。
イオン工学基礎で用いる大部分のプラズマは、このような非熱平衡プラズマ(低温プラズマ)である。
プラズマ中の電子やイオンの温度を表す単位として、eV(electron Voltが、用いられる。
eVと温度の単位[K]との対応関係は
1eV=1.602×10-19J/1.38066×10-23[J/K]=11600K
と定義されている。ここで温度と粒子の平均運動エネルギーとの関係式
(1/2)Mv2=(3/2)kT
から、たとえばプラズマ中の電子のように3つの自由度を持つ粒子の場合、
1eV=1/2Mv2=(3/2)kT
となり、1eVの平均運動エネルギーをもつ粒子集団の温度は、約7733[K]になる。
即ち式(2.1)の換算式のeVはあくまでも温度の単位としてのeVであり、たとえば電子温度が1[eV]であるということは、平均の運動エネルギーが
なのではなく、11600[K]の温度になっている電子集団の平均の運動エネルギーに等しいということを意味する。
したがって、電子温度が1[eV]の電子の平均運動エネルギーは、エネルギーの単位で
(3/2)eV=2.403×10-19J
である。なおイオン工学で用いられるプラズマの電子温度は、数〜10[eV]程度である。
アーク放電のように圧力が高いと単位時間あたりの衝突回数が多くなり、 電子と他の重い粒子との間でも十分に運動エネルギーの交換がなされ、電子温度と気体温度、
イオン温度がほぼ等しい「熱平衡プラズマ」の状態になる。
プラズマ密度
プラズマ中にはイオン、電子及び中性粒子が存在する。
これらは励起、電離、再結合 を繰り返してイオン密度、電子密度はそれぞれ平衡状態になっている。
イオン密度、 電子密度のことをプラズマ密度という。
このプラズマ密度の低いものを弱電離プラズマ、
高いものを完全電離プラズマと大きく二つに分けられる。
| 弱電離プラズマ |
完全電離プラズマ |
 |
 |
プラズマ密度は特に重要なパラメータであり、プローブ法と計算により求めることができる。
プラズマ中にプローブを差込み電圧を印加すると、電流が流れる。
この電流をイオン飽和電流とよぶ。 イオン飽和電流は次式で求めることができる。

Ii :イオン飽和電流[A] A :プローブの表面積[m2]
E :電子の電荷[C] Ne:電子密度[m-3]<>br k :ボルツマン定数[J/K] Te:電子温度[K] Mi:イオン質量[kg]
プラズマ電位
プラズマは中性粒子だけでなく、電子・イオンのような荷電粒子を含む粒子集団である。
しかし、プラズマ全体の電荷は中性であるため、プラズマ中の電荷を動かすときに必要な仕事は
巨視的に見ると0である。
即ち、プラズマ中の電位(Plasma Potential:Vp)は一定である。
このVpを決めるには、プラズマと電位の基準となる物体との関係がどのようになっているかが重要になる。
プラズマ中に、浮遊電位Vfで表面が平坦な物体(金属、絶縁物など何でもよい) をおいたときの例を示す。
この物体に入射するイオン及び電子の粒子束[個/cm2・s]は、 それぞれ(1/4)NiVi、(1/4)NeVeである。
ここでNi、Viはそれぞれイオン密度[個/cm3]、 イオンの平均速度(熱速度)であり、Ne、Veはそれぞれ電子密度、平均速度(熱速度)である。
電子の質量はイオンに比べてはるかに小さく、また電子温度はイオン温度より高いため、
Ve≫Viである。またプラズマ中ではほぼNi=Neであるから、(1/4)NeVe >(1/4)NiViとなる。
従って、物体の表面は直ちに過剰の電子のよって負に帯電する。
そして、イオン粒子束と減速電界に打ち勝って入射する電子の粒子束がバランスするような電界が形成されて
平衡状態となる。
このとき物体の表面はプラズマに対して負の電位となっている(Vf<Vp)。
即ち、プラズマはフローティング状態の物体に対して、常に正の電位をとる。
平衡平板高周波(13.56[MHz])放電などのように、プラズマが接地電位の物体(金属製真空容器)に
囲まれている場合、同様に過剰の電子が流入するが、物体そのものには帯電しない。
しかし電界の周波数が、イオンの臨界周波数fc式より大きいため、イオンが電界の変動に追随せず
イオンがプラズマ中に若干取り残される(イオントラップ)ことによって、 プラズマ電位は電極電位の変動の追従せず高いままに保たれている。