3Dプリンタによる付加製造法は除去加工と比べ材料廃棄割合が小さく、開発プロセスが短いため試作品開発などで注目されています。しかし近年、ハードウェアの改良により、樹脂の積層時間の短縮や成形品の精度が向上し、試作品だけでなく最終製品の製造にも使用されてます。複雑な形状の積層や3Dプリントによる造形物をそのまま製品として販売するためには、さらなる3Dプリンタの高速・高精度化が求められています。
3Dプリンタには様々な造形方法がありますが、その中でも熱溶解積層方式は3Dプリンタ自体の価格が安く、専門的知識がなくても比較的扱いやすいなどのメリットから企業だけでなく個人単位でも普及が進んでいます。
熱溶解積層方式は積層の原理上、空中に突き出るようなオーバーハング形状を造形する際、重力による樹脂の垂れを防ぐサポート材が必要となり、サポート材によって余計な加工時間、材料費、表面損傷を及ぼす問題があります。
そこで先行研究では、既存の3軸機構3Dプリンタに回転2軸を新たに設けた5軸機構3Dプリンタを開発し、テーブル姿勢の自由度を上げることでサポート材なしでオーバーハング形状の造形を可能としました。
しかし、開発された5軸機構3Dプリンタは構造が複雑化したため、既存のスライスソフトでは本機の運動に対応した経路データを生成できず、現状はマニュアルで経路生成行っています。
そのため、複雑形状の経路データの生成が困難であり、製品完成までの全体の造形プロセス時間も伸びることになります。
そこで本研究では、CAM開発ソフト(Kodatuno)およびExcelのマクロ機能を用いて5軸機構3Dプリンタに対応するスライスソフトを開発し、自動で積層経路の生成を行えるようにします。