混ぜるな危険  −むやみに何でも混ぜないこと

 混合危険を予測するためには、どんな反応が進行するかといった反応パターンの理解が必要である。

 中和反応(酸+塩基)
 酸化還元反応(酸化剤+還元剤)
 弱酸遊離反応(弱酸の塩+強酸→強酸の塩+弱酸↑)

  が混合危険の理解に必要な代表的な反応パターンである。

 中和反応は少量の酸と塩基なら問題ない。しかし、濃硝酸や濃硫酸などを100ml単位で中和する際には大量に発熱し、沸騰してあふれてしまう。濃硝酸に水酸化ナトリウムの小さな塊を放り込むと、中和熱のため塊のまわりに小さな泡が発生し、ちょうどてんぷらを揚げているような様子になる。

 燃焼反応は、酸化還元反応の一種である。酸化性物質(危険物1類、6類)と可燃性物質(危険物2類、4類)の混合は爆発、炎上する危険がある。ちなみにマッチは、酸化性の塩素酸カリウム(危険物1類)と、可燃性の赤リン(危険物2類)を摩擦で発火させる仕組み。

弱酸遊離反応の例
 KCN + HCl → KCl + HCN↑
 青酸カリ(弱酸の塩)に塩酸を加えると青酸ガス(弱酸)が発生する。青酸カリを飲むと死亡するのは、胃の中で胃酸と青酸カリが反応し、青酸ガスが発生するから。慶応大学理工学部化学科の学生がなぜか自宅の庭で上記の実験を行い、青酸ガスを吸って亡くなった事件もあった。

 過マンガン酸カリウムKMnO4や塩素酸カリウムKClO3に硫酸を加えると、過マンガン酸HMnO4や塩素酸HClO3などの不安定で強力な酸化剤を遊離する。これらに接触するだけで可燃物は発火する。この反応は一部の起爆装置や火炎瓶などに悪用されている。

   1973年11月3日 硝酸とおがくずで飛行機墜落・・・ニューヨークからヨーロッパに向かうパンアメリカン航空の貨物輸送機が離陸35分後に墜落し、3名の乗組員が全員死亡した。墜落前に機内に煙が発生したと通報があったが、墜落後の調査で原因は、おがくずを緩衝材にして梱包された硝酸だったことがわかった。硝酸が漏れておがくずと反応し、火災を発生したのである。梱包時にも、混合危険をしっかり理解しておく必要がある。



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update 2004/10/29