液体窒素の扱い方

アイスクリームなどの冷却材によく使われるドライアイスの温度は-79℃(194K)。 液体窒素はそれよりもずっと低い-196℃(77K)である。凍結させればバナナでくぎが打てるし、 布もカチンコチンになる。

ふつう冷たいものを扱うときには、手袋などを着用しがちだが、液体窒素を扱うときは軍手など布製の手袋は厳禁である(液体窒素専用の手袋はもちろん構わない)。もし万が一液体窒素の飛まつが手にかかったとき、素手なら皮膚に接触する直前に気化してしまうため、少量であればやけどを負うことはない。実際、液体窒素の感触を確かめようと、指を液体窒素に入れたりすると、体温で瞬時に液体窒素が気化してしまうため、液体そのものに触れることができないのである(やらないほうがいい)。これが素手でなく布製の軍手をはめていると、軍手自体が液体窒素を吸着してカチンコチンに凍結してしまうため、軍手に接触している皮膚は低温やけどを負うことになる。ただし液体窒素のために冷たくなった金属部分などを触るときは手袋の着用が必要である。

安全な方から  液体窒素専用の手袋 > 素手 > 軍手

その他の注意点として、液体窒素の温度では空気中の酸素が液化して液体酸素に変わってしまう(窒素と酸素では分子量の大きい酸素の方が沸点が高い)。液体酸素は低温であっても極めて危険である。そもそもロケットエンジンの燃料に使用されるものであり、紙やタバコなど可燃物を接触させると大爆発することがある。液体窒素をデュワー瓶の中に放置しておくと液体酸素が徐々に濃縮されて蓄積されることがある。だから、最後の方に残った液体窒素は使用しないほうが良い。  また、液体窒素を大量にまくと窒息することがある。北海道大学で助手と大学院生の2名が実験室内で液体窒素で窒息し死亡した事故が報告されている。



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update 2004/10/29