第2回夏の学校 −複合材航空機設計入門−
期間:2015年8月17日(月)〜21日(金)
場所:金沢工業大学・扇が丘キャンパス・21号館5階会議室
参加者:23名
| 日程 | 9:00-10:30 | 11:00-12:30 | 14:00-17:00 |
| 8/17 | 月 | 航空機設計論 | 航空機概念設計 | 複合材料成形実習 |
| 8/18 | 火 | 複合材航空機設計 | 最適設計 | KMAPによる航空機概念設計演習 |
| 8/19 | 水 | FRP母材の粘弾性 | 複合材料の力学 | KMAPによる航空機概念設計演習 |
| 8/20 | 木 | 複合材料の力学 | 構造力学 | 有限要素解析演習 |
| 8/21 | 金 | 構造力学 | CFDの基礎 | CFD演習 |
航空機設計論・複合材航空機設計(担当:廣瀬康夫(金沢工業大学))
本項目では,航空機の設計に関する基本的な事項について講義を行う.すなわち,揚力発生の原理と航空機に働く力について説明し,重量軽減と抵抗低減が航空機にとつて極めて重要であることを説明する.次に,航空機の形状に関する主要パラメーター(アスペクト比,後退角等)について説明し,これらのパラメータが航空機の性能等にどのように影響しているかを実機の例を示しながら説明する.さらに,航空機の性能(航続距離,離陸滑走路長,着陸滑走路長等)を推算する方法についても説明する.
また,航空機構造設計に関する基本的な考え方,構造様式,複合材の適用状況についても簡単に説明する.講義は座学と若干の演習問題を組み合わせて行い,航空機全般に関する解説ビデオの視聴や航空機産業の現状の説明なども随時行って一般的な知識も得られるように配慮する.
航空機概念設計・KMAPによる航空機概念設計演習(担当:片柳亮二(金沢工業大学))
本項目では,航空機の開発を決心するために実施される事前設計確認,いわゆる概念設計について,理論と演習により理解を深めることを目指す.まず,これまで開発されてきた旅客機について概観した後,航空機を開発する際の設計要求条件について学ぶ.次に航空機の形状を決めるパラメータについて理解し,具体的な性能要求である航続距離,離陸性能,着陸性能,接地速度を満足する機体諸元を決める方法について学ぶ.航空機の形状および諸元が決まると,次に実施するのは安定性・操縦性の検討である.具体的には安定に飛行するための尾翼の設定方法について学ぶ.これらの理論を学んだ後,航空機の設計解析プログラムKMAP(ケーマップ)を用いて,実際に旅客機の設計演習を行う.KMAPのソフトは無料でダウンロードできるので,当日は各自のパソコンを持参して演習を行う.
複合材料成形実習(担当:斉藤博嗣(金沢工業大学))
複合材料は幅広い分野への適用が進められているが,その成形方法は一様ではなく,目的に応じて多種多様なものが存在する.本項目では,複合材料の代表的な成形方法について紹介し,その特徴と適用分野について学習する.その上で,炭素繊維プリプレグを用いたCFRP積層板のホットプレス成形の実習を行ない,複合材料積層板の成形法について理解を深める.さらに,作製したCFRP積層板に落錘衝撃損傷を与え,超音波探傷法により内部損傷の非破壊観察を行ない,複合材料積層板で生じうる損傷について実験的な検証を行なう.
最適設計(担当:佐々木大輔(金沢工業大学))
航空機の設計において,構造設計や空力設計に最適化を取り入れることで高性能化を図ることは一般になっている.本項目では,最適化に関する基礎事項についての講義を行う.最初に,最適化の基礎事項について,勾配法に基づく手法を紹介しながら説明する.次に,大域的最適化手法として遺伝的アルゴリズムに代表される進化的手法についての解説を行う.実際の適用例として,多目的最適化手法を用いた航空機の空力設計についての紹介を行う.最後に,近年の最低設計手法の話題として,応答曲面法に基づく効率的な手法やロバスト最適化,データマイニング等について簡単に触れる.
FRP母材の粘弾性(担当:宮野靖(金沢工業大学))
工業製品として実際に多量にかつ多種多様に利用されている複合材料は繊維強化プラスチック(FRP)である.FRPの母材であるプラスチックは鉄鋼などとは異なり,少し温度を上げただけで,あるいは時間が経つと柔らかくなる性質がある.この性質は製品に形作る時は便利な性質であるが,使うときには様々な不都合を生じることがある.プラスチックのこの性質を「粘弾性」と言い,FRPを特に高度な信頼性が必要な構造物に利用する上では,母材であるプラスチックの「粘弾性」を十分に把握することが必要不可欠である.本講義では,力学モデルを活用して粘弾性の基本的概念を説明し,クリープ現象,応力緩和現象,時間と温度の等価性などについて解説する.
複合材料の力学(担当:田中基嗣(金沢工業大学))
本項目では,演習を交えながら「複合材料の力学」について理解を深めることを目指す.まず,異方性材料の応力とひずみの関係から,一方向繊維強化複合材料平板における変形について導出する.次に,一方向繊維強化複合材料の繊維方向ヤング率・ポアソン比・繊維直角方向ヤング率・せん断弾性率・線膨脹係数に関する複合則について学習する.さらに,積層板理論により剛性行列を導出し種々の積層板の変形について理解するとともに,層間に生ずる応力について説明する.最後に,複合材料積層板の破壊力学モデルについて解説し,複合材料積層板の破壊を予測する手法について学ぶ.
構造力学(担当:岡部朋永(東北大学))
本項目では,航空機機体設計に欠かすことの出来ない構造における力学をポイントを絞って説明する.特に,各部材における変形とそれによって生じる応力を算出するための理論式を物理的意味を明らかにしながら導出する.また,実際の設計の現場にて用いられる有限要素法をその定式化から具体的な計算の手順まで例題をもちいながら説明する.
有限要素解析演習(担当:小柳潤(東京理科大学))
本講義では有限要素解析の実習を行う.ABAQUSを用いて次の実習を行う.すべて等方性材料を取り扱う. @Cohesive要素を用いたDCB試験のシミュレーション AXFEMを用いた円孔を有する二次元平板の亀裂発生,進展解析 B損傷力学を用いた円孔を有する二次元平板の亀裂発生,進展解析
CFDの基礎・CFD演習(担当:河合宗司(東北大学))
本講義では,まず講義形式で数値流体力学(CFD)の基礎や近年のCFDの動向について触れる.続いて演習では,講義内容の代表的な数値計算法を実際にプログラミングし,計算結果を得ることで,CFDをより身近に感じて頂ければと思っている.CFDの基礎では,与えられた支配方程式をどう数値的に解析するのか,その基礎となる空間離散化手法やその高次精度化について,更には一筋縄ではいかない圧縮生流体に対する数値計算法についての講義を行う.演習では具体的に計算の手順を学び,講義で学んだ代表的な数値計算手法を実際にプログラミングし,1次元の数値解析結果を得ることで,本演習が講義で学ぶCFDと実際にCFDを行う際とのギャップを埋める一つのきっかけになればと思っている.
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