金沢工業大学 山口敦史研究室

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現在進行中の研究テーマ(更新中)

半導体発光デバイスでは、活性層と呼ばれる部分で電流を光に変えています。この活性層の材料や構造を目的に合わせて設計することで、高性能・高機能なデバイスを実現できます。例えば、窒化物半導体材料を用いて、現在、紫外から青色までの波長の半導体レーザが作製できていますが、活性層の結晶方位や構造を工夫することで、未だに実用化されていない「緑色半導体レーザ」の実現が期待されています。私たちは、光学実験や理論計算により、材料物性を物理的な側面から解明することにより、こうした素子構造設計を提案していきます。
本研究室には、光学実験を行うための実験室があり、レーザ、分光器などの各種の装置を配備しております。そして、民間企業、国立研究所、他の大学で作製された半導体材料や半導体光デバイスを、それらの装置を用いて測定し解析することにより、半導体材料の光物性を調べたり、半導体光デバイスの特性向上に貢献したりするような研究を行っております。


■輻射・非輻射再結合の同時観測とそれに基づく特異構造の電子状態の理論モデル構築

窒化物半導体光デバイスの発光層の混晶半導体には、組成揺らぎ、歪み、欠陥など周期性を乱す要因(特異構造)が混在しており、その材料物性は解明されていません。こうした材料の物性解明には、特異構造をもつ物性を様々な側面から実験的に調べ、それらの実験結果のすべてを説明するための理論モデルの構築が必要です。本研究では、「非輻射再結合の直接観察」がこの物性解明の突破口になり得ると考え、この実験から輻射・非輻射再結合寿命を正確に求め、研究を進めていきます。さらに、他機関からの構造評価・光物性・電子状態計算の成果も踏まえ、理論モデルを結晶の周期性の乱れた系にまで拡張し、電子状態とキャリアダイナミクスを理解することを目標としています。


■地上型レーザ測量のレーザビーム品質の研究

近年、測量の新しい方法として「3次元レーザ測量」という手法が注目されつつあります。これは、基準点から出射したレーザビームが、対象物で反射(正確には散乱)されて再び基準点に戻ってくるまでの時間を計測して、対象物までの距離を測る、という測定をあらゆる方向に対して行い、3次元的な地形・人工物の情報を得るものです。この「3次元レーザ測量」は、現在本学で「空間情報プロジェクト」として、環境土木工学科教授鹿田先生をリーダーとして、その制度の検証が行われています。本プロジェクトでは、「3次元レーザ測量」におけるレーザビームの品質と測定精度の関連を理解し、さらなる精度向上への指針を得ることを目標としています。




過去の研究テーマ

■非c面基板上InGaN量子井戸の偏光特性の理論解析

窒化物半導体デバイスでは、従来よりc面と呼ばれる結晶方位面の基板上にデバイス作製が行われていますが、c面とは異なる結晶面を用いることによって、光デバイス(LEDや半導体レーザ)の素子特性が大きく改善されることが期待されています。本研究室では、光デバイスの特性の中でも特に重要な「偏光特性」に着目し、それぞれの光デバイスの目的に合わせて「偏光特性」を最適化する手法を構築してきました。InGaNは、InとGaの割合を変化させることにより、紫、青、緑、黄、赤、赤外線と様々な波長(色)の光を発することができる材料です。なかでも、フルカラーディスプレイ用途などのために、このInGaNを活性層に用いて光の三原色の1つである緑色の半導体レーザを実現することが、現在、非常に期待されています。これに関連して、本研究室では、半極性と呼ばれる結晶方位の基板面上に薄いInGaN量子井戸を作製することによって、従来とは全く異なる偏光特性が実現し、緑色半導体レーザの特性が飛躍的に改善されることを理論予測しました。その後の他の研究機関による実験的研究などにより、この理論予測の正しさが確かめられつつあります。現在、本研究室では、この理論研究をもう少し精密に行う研究を推進するとともに、さらに波長の長い(黄、赤、赤外)光を発する窒化物半導体レーザを実現するためのアイデアを考えていこうとしています。


■価電子帯エンジニアリングによるAlGaN紫外発光素子の特性改善の理論予測

AlGaN材料を活性層に用いることにより、紫外線を発光する光デバイスを作製することができます。紫外線光デバイスは、消毒・殺菌・医療・高密度記録光ディスクなどの用途があり、その実現が期待されています。しかしながら、このAlGaN-LEDにおいて、Alの割合を大きくして発光波長を短く(より深紫外に)していくと偏光特性が従来のLEDとは全く異なる状態に変化してしまって、素子表面から光がほとんど出てこない、という困った状態に陥ってしまうことが知られています。本研究室では、活性層のAlGaN量子井戸の構造を工夫することにより、この不都合な偏光特性を都合のよい偏光特性に変化できることを理論的に見出しました。そして、この理論予測は、複数の研究機関の実験によって、正しいことが最近確認されております。偏光特性は主に活性層の価電子帯の状態によって決定されるので、活性層の量子井戸構造、歪みの状態、基板面方位などを変えることにより、価電子帯の状態が変化し、偏光特性を変化させることができます。上記の偏光特性の制御は、この「価電子帯エンジニアリング」の手法を用いて行われたものです。本研究室では、「価電子帯エンジニアリング」の手法により、紫外発光素子のさらなる特性改善を目指しています。